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わたくし率イン歯ー、または世界 単行本 – 2007/7/1
読んだら吐くで。ほいでもって泣くで。
デビューと同時に激しめに絶賛された文筆歌手が魅せまくる、かくも鮮やかな言葉の奔流! リズムの応酬! 問いの炸裂! 〈わたし〉と〈私〉と〈歯〉をめぐる疾風怒濤のなんやかや! とにかく衝撃の、処女作。
あんたら人間の死亡率。うんぬんにうっわあうっわあびびるまえに人間のわたくし率こそ百パーセントであるこのすごさ! ああ! わたしはいまや、なんでか不快であったわたくし率がなんでか愉快でたまらん気持ちになって来た! ああこれこそ! 正味よ! あんたらは何が何をするんが人生やって思ってんねん、これは大事なことやねん、これがわたしの問題ねん! 夢の中で蝶々になってもそれがいったいどないしたんや、蝶々になろうが何になろうがそれそこにある私はいっこもなんも変わらんままや! わたくし率はなんもかわらん、蝶々がなんやの、私は奥歯や、わたくし率はぱんぱんで奥歯にとじこめられておる!!
- 本の長さ133ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2007/7/1
- ISBN-104062142139
- ISBN-13978-4062142137
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登録情報
- 出版社 : 講談社 (2007/7/1)
- 発売日 : 2007/7/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 133ページ
- ISBN-10 : 4062142139
- ISBN-13 : 978-4062142137
- Amazon 売れ筋ランキング: - 299,860位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 7,306位日本文学
- カスタマーレビュー:
著者について
大阪府生まれ。2007年、デビュー小説『わたくし率イン 歯ー、または世界』で第1回早稲田大学坪内逍遥大賞奨励賞受賞。2008年、『乳と卵』で第138回芥川賞を受賞。2009年、詩集『先端で、さすわ さされるわ そらええわ』で第14回中原中也賞受賞。2010年、『ヘヴン』で平成21年度芸術選奨文部科学大臣新人賞、第20回紫式部文学賞受賞。2013年、詩集『水瓶』で第43回高見順賞受賞。短編集『愛の夢とか』で第49回谷崎潤一郎賞受賞。2016年、『あこがれ』で渡辺淳一文学賞受賞。「マリーの愛の証明」にてGranta Best of Young Japanese Novelists 2016に選出。村上春樹との共著『みみずくは黄昏に飛びたつ』、『すべて真夜中の恋人たち』など著書多数。
2019年、第73回毎日出版文化賞受賞した『夏物語』は、20年ニューヨーク・タイムズが選ぶ「今年読むべき100冊」やTIMEの「今年のベスト10冊」などにも選ばれ、現在40カ国以上で刊行が進められている。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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熱が出た時に見る夢、あと全く事前知識なしに読む、夏目漱石の草枕などの感じです。
詩人の脳内はこんな感じなんでしょうか?
文法は狂っているわけではないのに目をつるつる滑る文です。
壊れそうな言葉を目で追う自分、壊れそうなのは言葉なのか、あるいは自分なのか? 増殖していく、分裂していく、薄まっていく、……、そもそもが、空っぽだった? あるいは、……と思わされる、反復されるモティーフ。
(前略)三年子はらっきょうの名前でもあるのです。三年かけて作られて、けっきょく芯も何もなくて奥歯にかかれば一回で完全に噛み砕かれてまう、そんならっきょうの三年子でもあるんです。
大きな口の中の舌のうえにもうひとつ口が現れます。そしてその口の中にもう一枚の小さな舌。それならばあの治療室をのせているさらに大きな舌があるのかもしれないですねえ。
振り返れば一歩ごとのわたしが列になってつづいている、並んでる、過ぎていった無数の今がゆるい曲線の軌跡になって、おお、わたしは無数のわたしの先頭となって走りつづけ青木の後を追うようにして夜の中を前進します、前進します、
人間が、一人称が、何でできてるかゆうてみい、一人称なあ、あんたらなにげに使うてるけどなこれはどえらいもんなんや、おっとろしいほど終りがのうて孤独すぎるもんなんや、これが私、と思ってる私と思ってる私と思ってる私と思ってる私と思ってる私と思ってる私と思ってる私と思ってる私!! これ死ぬまでいいつづけても終りがないんや、私の終りには着かんのや、ぜんぶが入ってぜんぶが裏返ってるようなそれくらい恐ろしいもんなんや私っていうもんは考えたら考えるだけだだ漏れになっていくもんなんや私ってもんはな、
併録作「感じる専門家 採用試験」。母胎回帰への願望が生み出した世界、ということなのだろうか?
二作とも、自分には、おどろき、の衝撃波が強すぎて、頭が働かない。頭が働かないのは、生まれつきだろ、と自分に突っ込みを入れて、痛む歯を押さえながら、レヴューに、幕。
読み始めて、この文体は谷崎潤一郎の現代大坂女性版なのかなと思ったが、それともちょっと違うようだ。意味がわからないところも多い。その文体はまあ面白いと言えば面白いんだけど、読みづらくてあまり感じるところがない小説だった。もうこの人の小説は読まないだろうな。
すると突然、あ!わかるわかる。と思う瞬間がある。
そして、なるほどそういう……はあん。と気になってくる。
でも、青木の彼女の方が一枚も二枚も上手で、その言葉の選び方というか
主人公に対する手痛い態度というか、それの方が私にはズキューン!!ときて
そこのシーンからは主人公が、大変大変ぼんやりしてきた。
多分、存在も含め全てが。
だけど、自我という意味でみると全体が自我なんだよな。
高校生の頃に読んだらどう感じたかと思います。
もう一つの「感じる専門家 採用試験」での、妊婦の葛藤の描写も妙にリアルで素晴らしい。子どもを生んだことはないだろうに。
「乳と卵」も是非読みたい。
主人公はつきあっている(と想定している)仕事で忙しくて会えない彼への想いを、未来の自分の子供に向けた日記に綴り、歯科では女性医師に苛められますが、既に耐性ができていています。なぜなら少女時代にもっと陰惨ないじめに合っていたから。
そうして、彼の浮気現場で、疾風怒濤の想いを、情緒を含む鋭利な大阪弁でぶちまけ、浮気相手にこれまた鋭利な憎しみを込めた大阪弁で反撃され、、、そして、その足で歯医者に向かい、わたくし=自分の本質=奥歯を、、、して、現実の世界へ舞い降ります。
これは、虚構の「わたくし率イン歯―」の世界から、現実の「わたくし率イン世界」への主人公の成長の物語です。
著者はその日記「そら頭はでかいです。世界はすこんと入ります」で、少女時代に働けど貧しい母親を見て、自分は生まれるべきでなかったと想い悩んで来たと吐露していますが、恐らく本作は、彼女自身が彼女の為に書かざるを得なかった、自分自身へのレクイエムだと思います。